歯周内科治療💊を知っていますか?
いいじま歯科クリニック勤務医の大藤です。
今回は当院で行っている「歯周内科治療」についてお話をしていこうと思います。
いまや国民病ともいわれている歯周病ですが、歯周病は歯を支えている骨がプラーク(歯垢)中に含まれる細菌の出す毒素によって破壊されていく病気です。
従来の歯周病治療は、歯ブラシで歯の表面のプラークを機械的に除去し、口の中の細菌数を減らす、また細菌の住みかとなる歯石を取る治療が主で、歯周病が中等度以上に進行しており基本的な治療で改善が認められない場合は外科的な処置を行うことが主流でした。しかし、近年薬の進歩に伴い、歯周病菌に効く抗菌薬(飲み薬)を使って殺菌してしまおうという考え方が出てきました。この考え方は「歯周内科(内科的歯周病治療)」と呼ばれています。熊本県の開業医、生田図南先生が考案された方法です。
薬を多用し過ぎることは耐性菌が発現してしまうので避けなければいけませんが、薬を効果的に用いることができれば歯周病をこれまでよりも楽にコントロールすることができます。当院でもこの内科的歯周病治療を2021年11月から導入しています。
<当院の歯周内科治療の流れ>
① 位相差顕微鏡での細菌の確認🔬
→まず患者さんのお口の中からプラークを採取して、位相差顕微鏡で確認します。人間だれの口の中にも細菌は存在しており、細菌が存在しない人はいませんが、それでも口の中に存在する細菌の種類には個人差があります。特に歯周病に深く関わる悪い細菌(歯周病原性細菌)が多く存在する人は注意が必要です。そのため位相差顕微鏡を使ってプラークの中に含まれる細菌の状態を確認します。
この時点で歯周病原性細菌が多く存在し、活性化(活発に動いている)している場合、歯周内科治療を勧めます。
②歯周病菌除去薬(ジスロマック)の内服、防カビ効果の歯みがき剤(ファンギゾンシロップ)の使用💊
→歯周内科治療では主に2種類の薬を使用します。ジスロマック(マクロライド系抗菌薬)という歯周病菌に効く薬とファンギゾンシロップ(アムホテリシンBシロップ)というカビ菌に効く薬です。
治療方法としては、まずジスロマックを3日間内服してもらいながら、ファンギゾンシロップを歯ブラシに1~2滴滴下しての歯磨きを朝、昼、寝る前の1日計3回を一週間継続して行ってもらいます。
通常抗菌薬は3時間から6時間ほどでその効果は減少してきますが、ジスロマックの半減期は7~14日と言われ、少ない投与回数で非常に長い期間体の中で効果を発揮するため、数ある抗菌薬の中でも歯周内科治療ではこのジスロマックを治療薬として選択しています。最初の一週間はファンギゾンシロップを使って歯磨きをしてもらいますが、その後はポイックウォーター(タンパク分解電解水)を使っての歯磨きを継続してもらいます。
<ジスロマック>
<ファンギゾンシロップ>
<ポイックウォーター>
③プロフェッショナル・クリーニング🦷✨
→その後、再度患者さんの口腔内からプラークを採取し、位相差顕微鏡やPCR検査で精密に歯周病細菌の種類や数が改善しているかを判定していきます。歯周病菌やカビ菌が除菌でき、薬の効果が確認できたら、今度はお口の中のクリーニングをします。歯ブラシでは取れない歯石やバイオフィルムの汚れを専用の器材で取ります。
④定期的なメインテナンス🏥
→歯周病は感染症です。除菌後の良い状態を維持するためにも、定期的なメインテナンスはとても重要です。再感染予防のためにも、歯科医院での定期的な顕微鏡検査、プロフェッショナル・ケアが大切です。
<実際に歯周内科治療を受けた患者さんの治療前後の口腔内環境の変化>
「治療前」
「治療後」
当院では上記治療を①→②→③→④の流れで行っています。
☑ ①→④まで計12回の歯周内科治療プログラムとなっています。治療開始して最初の1ヵ月で患者さんには適切な歯磨きの仕方を身につけてもらい、その後薬の服用を開始します。薬の服薬を開始して1週間後からプロフェッショナル・クリーニングを行います。
☑ プロフェッショナル・クリーニングは歯肉縁上歯石(歯茎より上に存在する歯石)の除去と歯肉縁下歯石(歯茎の中に隠れて存在する歯石)の除去で分けて行うため、計4回行っていきます。
☑ 現在、歯周内科治療は総額250000円(税込275000円)の自費治療となっており、保険は適用されていません。
☑ 計12回の歯周内科プログラム終了後は歯周内科メインテナンス(1~3か月間隔)で良い状態を管理していきます。歯周内科メインテナンスは1回12000円(税込13200円)で行っています。
治療内容について、もっと知りたい方、興味のある方は、スタッフまで、お気軽にお声掛け下さい!(^_^)ノ💡
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。