歯の痛みが消えた!これはいいこと?悪いこと?

歯の痛みが消えた!これはいいこと?悪いこと?

皆さんこんにちは

いいじま歯科クリニック勤務医の渡部です。

本日は、歯の痛みが消えた!これはいいこと?悪いこと?と題して、お話します。

まず初めに、今この記事をお読みいただいている皆さんは歯がどんな構造をしているかご存じでしょうか?

口の中で見える歯は、歯の構造からすると歯冠と呼ばれ歯茎よりも上にある部分のことです。歯には歯根と言われる根っこの部分が存在し、歯を支える骨(歯槽骨)の中に埋まっています。下のイラストを見るとわかりやすいと思います。

 

 

 

 

 

 

さらに歯の内部を見ていくと歯の中には歯髄と言って、神経や血管が集まってできた組織があります。この歯髄が本日の主役です。この組織は歯に栄養を運んだり、刺激を受けた際に、我々に危険を知らせてくれたりする役割があります。

キンキンに冷えたアイスをかじると、ツーンといやな感じがしますよね?これは歯の内部にある歯髄の神経がアイスの温度を感知して、我々に、『かなり冷たい刺激が歯に加わってるみたいだけど大丈夫?』と危険を教えてくれているのです。

さてここから本題に入ります。

もしこの神経が死んでしまうと、歯はどうなるのでしょうか?

実は神経が死んだだけでは歯の痛みは出てきません。むしろ、今までずっとあった痛みが、神経が死ぬことで突然無くなったりします。

たまに患者さんから、『2週間前くらいに歯がものすごく痛くなったんですけど、我慢してたら治りました。』なんてことを聞きます。

これを聞くと、我々歯科関係者は、『なんてこった、、、神経が死んでしまってるかもしれない、、、』と思います。

神経が死んでも痛みが出ないなら治療の必要はないのでは?そう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆さんにここでクイズです。

Q.神経が死んでしまった歯を放置するとどうなる?

①神経が生き返る

②数日後、歯が抜ける

③数年後、激痛に見舞われる

 

それでは、答え合わせです。

①神経は一度死んでしまったら、基本的に生き返ることはありません。

②よほど特殊なケースでない限り、神経が死んだ直後に歯が抜けることはありません。ただ、その状態を放置しておくとゆくゆくは抜く必要が出てくる可能性は高くなります。

正解は③です

③歯の中の神経が死んでしまった後、しばらくは歯の痛みは出ないことが多いです。しかし、数年後、気づいたら、歯の根っこの先端に膿の塊ができていて歯茎が腫れたり、痛みが出たりします。ひどい場合には、顔を見ただけで腫れがわかるほど症状が強いこともあります。また、このように、一度根の先に膿の塊ができてしまうと、治療しても治りが悪いことが多いです。

いかがだったでしょうか?正解できましたか?

以上のことから、神経が死んでしまった歯は、痛みがなくても治療をしておいた方がいいのです。

さて、歯の神経はどんなことが原因で死んでしまうのでしょうか。

原因は様々ですが、1番多いのは虫歯です。

虫歯が進行すると、最初は冷たいものだけがしみるといった症状だったのが、熱いものまでしみるようになり、さらには何もしなくてもずっと痛いというような症状に変わってきます。この変化は虫歯菌による歯の神経への刺激が、徐々に大きくなっていくため起こるものです。(この何もしなくてもずっと痛いというような状況になってしまうと神経を残すのはかなり難しくなってしまいます。)

その痛みを我慢し続けると、神経が死んで痛みがなくなり、あたかも虫歯が治ったかのように錯覚してしまうのです。

 

他にも、虫歯治療による歯へのダメージや知覚過敏が原因となって神経が死んでしまうケースもあります。

歯の神経を守るためにできることは、とにかく症状があるうちに、できれば症状が出る前に対処することです。(しみたり、痛んだりするといった症状が出ている虫歯は多くの場合で、神経のかなり近くまで虫歯が進行してしまっています。)

虫歯も小さいうちは症状がないことが多いです。そんな虫歯を自分で発見するのは、なかなか難しいです。定期的に歯科検診に通い、小さな虫歯ができていないか確認し、小さな虫歯ができている場合は、虫歯が小さいうちに治療してしまいましょう。

ただ、虫歯が症状の原因になっている場合は、虫歯治療が必須ですが、何か他のことが原因で冷たいものや熱いものがしみる場合は、必ずしも治療が必要というわけではありません。

しみる症状が出ている時は、そのしみる刺激を極力避け、歯の神経を刺激しないようにすることも重要です。症状が出た場合は、治るまで我慢するのではなく、一度我々にご相談いただければと思います。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

歯科用マイクロスコープをご存じですか?

皆さんこんにちは。
いいじま歯科クリニック勤務医の渡部です。

本日は、マイクロスコープについてお話しようと思います。
はじめて耳にする方も多いと思いますが、スコープと聞くと何かを拡大するのかな?といったイメージは沸くかもしれませんね。

実物はこんな感じの装置です。

 

 

 

 

 

 

YOSHIDA ホームページより引用
エルタニス M-spec | 商品詳細 | 株式会社ヨシダ (yoshida-dental.co.jp)

見た目だけでは何に使うのかさっぱりわかりませんね。

実際にはこんな感じで使用します。

 

 

 

 

 

 

 

 

モリタ ホームページより引用

Spaceline ST | MORITA

 

さて、この装置はどんなシチュエーションで力を発揮するのでしょうか。
使い方は、各医院さんで異なってくると思いますが、マイクロスコープが最も高頻度で活躍するのは根管治療と呼ばれる分野です。

ここで少しだけ根管治療のお話を少しだけさせていただくと、歯の中には歯髄と呼ばれる神経や血管の集まりが存在します。その神経や血管が入っているのが、根管と呼ばれる場所です。
むし歯が大きく広がって、この歯髄を侵すと、激痛が生じます。この痛みを取り除くには、虫歯と歯髄を取り除く以外に方法はありません。取り残しがあると違和感が続いたりします。

江戸川区歯科医師会より引用

ご案内 | 江戸川区歯科医師会 (edo418.jp)

 

しかしながら、約1㎝四方の歯の中にある歯髄は本当に小さく、肉眼ではある程度のところまでしか見えません。半分手探りのような状況で治療せざるを得ないのが、十数年前までの常識でした。
そんななか、マイクロスコープが普及し、治療の精度が大きく変化しました。根管治療3種の神器の一つとして数えられています。あと、3種の神器のあと二つは今後機会があればご紹介します。

ここまで話して、皆さんお分かりかもしれませんが、マイクロスコープは小さいものを、大きく拡大して見えるようにする治療機器です。

実際に肉眼で見た根管とマイクロスコープで除いた根管の写真を比較すると一目瞭然だと思います。

 

 

 

 

 

 

【肉眼】

 

 

 

 

 

【拡大率20倍】

 

マイクロスコープを用いることで、肉眼の約20倍(メーカーによって差があります。)の拡大率で歯の中をのぞくことができ、歯髄の取り残しや根管の見落としを大きく減らすことができ、より良い精度の治療を行うことができるのです。

当院では、2台のマイクロスコープが導入されており、複雑な根管の症例にはマイクロスコープを用いて治療させていただくことで、精度の高い治療をさせていただいております。
もし、ご興味があればいつでもお声がけください。

最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。

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