失活歯のホワイトニング ウォーキングブリーチとは?
歯の変色に対して歯科で行う治療法として、多くの人は「ホワイトニング」を思い浮かべると思います。しかし、通常のホワイトニングでは効果が得られないこともあります。その代表例が、「失活歯(しっかつし)」と呼ばれる神経を抜いた歯です。
このような歯の変色を改善するための処置がウォーキングブリーチ法です。
失活歯は、根の治療後でも時間の経過とともに色がくすみ、黄褐色や灰色に変化することがあります。これは、血液やたんぱく質の残留物が内部にたまり、変色を引き起こすためです。
ウォーキングブリーチ法は【神経を抜いた歯の内部に漂白剤を入れて、内側から白くする】ホワイトニング方法です。
変色した失活歯(右)。右側の歯だけ、暗く変色しています。
一般的なホワイトニングは歯の表面の着色に作用するため、失活歯のような内部からの変色には効果が薄いです。そこで、歯の中に漂白剤を封入し、数日〜1週間かけて白くしていくウォーキングブリーチ法が適応されます。
当院でも取り扱っている治療です。
こんな人におすすめです
①過去に神経を抜いた前歯が、灰色や黄土色に変色してきた
②写真や会話で、前歯の色が気になって笑いにくい
③かぶせものみたいに歯を削られることに抵抗がある・あまり歯を削られたくない
ウォーキングブリーチ法の治療手順
※当院での流れです
⒈診断・カウンセリング
まずはレントゲンや視診により、根管治療がきちんとされているか、歯の状態を確認します。次に、カウンセリングにて、料金や術式をお伝えし、希望の色味を聞くなど相談を行い、ウォーキングブリーチを希望されるか決めていただきます。
⒉漂白剤の注入
歯の裏側の一部を削り、漂白剤(過ホウ酸ナトリウムなど)を入れて仮の蓋をします。
⒊待機期間(約1週間)
薬が数日をかけて、作用していきます。
一週間ごとに来院していただき、都度色味の変化や疼痛などの症状が出ていないか確認し、漂白剤を交換します。だいたい、3回繰り返します。
4.最終封鎖
最終的に、漂白剤を除去しレジン充填で密閉し、終了です。
メリット
①歯をほとんど削らずに白くできる
被せ物のように歯を大きく削らなくても審美回復が可能です。
②自然な仕上がり
漂白によって元の歯の色調が回復するため、周囲の歯とのなじみも良好です。
③コストを抑えられる
セラミック治療などと比べると、費用が抑えられることが多いです。
デメリット
①再変色することもある
時間が経つと再び変色することがあります。
②歯の強度に影響を与えることがある
薬剤の影響で、まれに歯の強度が下がることがあります。
③適応の条件が通常のホワイトニングよりも難しい
人工的な詰め物を白くすることはできないため、詰め物が入っていて歯冠の歯質がほとんど残っていない歯では効果はあまりありません。また、歯の内部に漂白剤をいれる治療のため、神経のある生活歯に利用することはできません。
さいごに
ウォーキングブリーチ法は失活歯の変色に対して【できるだけ歯を削らずに見た目を改善したい】という方にとって、有効な選択肢です。処置回数は少なく、比較的短期間で効果を実感できることも魅力です。
気になる方は、ご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとございました。