「ブルーラジカル」ってなに?―薬に頼らない、新しい歯周病治療のかたち―

「ブルーラジカル」ってなに?―薬に頼らない、新しい歯周病治療のかたち―

みなさんこんにちは。歯科医師の大藤です。

みなさんは、「ブルーラジカル」という言葉を聞いたことがありますか?
最近、テレビ報道でも話題のブルーラジカル。一部の歯科医院で導入されはじめている、歯周病に対する新しい治療技術のことを指します。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、実はとても安心・安全、そして画期的な方法です。
今回はこの「ブルーラジカル」について、お話していこうと思います。

【世界初】歯周病治療器が日本で初承認 99.99%菌が死滅する? 開発者が解説【めざまし8ニュース】ブルーラジカルP-01

 

ブルーラジカルとは、特別な光(青色のLED)と専用の薬液により、お口の中の細菌を安全に除去する治療法です。
むし歯や歯周病の原因となる菌を、薬や抗生物質を使わずに除菌できる点が大きな特徴です。
「ブルー」は光の色、「ラジカル」は活性酸素のことで、この2つの組み合わせにより細菌をピンポイントで攻撃します。

 

◆ 歯周病治療には「限界」がある?

歯周病は、歯ぐきの腫れや出血、口臭の原因となるだけでなく、放っておくと歯を支える骨が溶けてしまい、歯が抜けてしまうこともある恐ろしい病気です。

現在の標準的な治療では、

・スケーリング(歯石除去)

・ルートプレーニング(根面の滑沢化)

・外科処置(フラップ手術)

・抗生物質の投与

などが行われますが、これらの方法にも限界があります。
とくに「歯周ポケットの奥深く」や「根分岐部」は、器具が届きにくく、完全に取りきれないこともあります。

◆ そこで登場、「ブルーラジカル」

このような課題を解決するために開発されたのが、「ブルーラジカル(Blue Radical)」という新しい治療機器です。

ブルーラジカルは、青色のレーザー光過酸化水素水(専用薬液)を同時に患部へ作用させ、化学反応によって発生する“活性酸素”の力で細菌を殺菌する技術です。

簡単に言えば、「手の届かないところの細菌を、光と水の力で安全に除菌する」

という、薬に頼らない低侵襲(からだにやさしい)治療法なのです。

ブルーラジカルには、以下のメリットがあります。

・青色光と薬液の化学反応で、歯周ポケット奥深くの歯周病菌にも作用

・外科処置なしで、より低侵襲に治療できる

・抗生物質を使わないため、耐性菌やアレルギーのリスクが低い

 

◆ ブルーラジカルの治療の流れ

治療はシンプルです:

・専用のハンドピースで、過酸化水素水を噴出しながら青色レーザーを患歯に照射します

・薬液と光が反応して、瞬時に「ヒドロキシルラジカル」という強力な活性酸素が発生

・その場で細菌やバイオフィルムを破壊・除去

・歯ぐきや歯のまわりを非侵襲的に殺菌・洗浄できる

安全で体にやさしい治療法です。この治療法は薬や抗生物質を使わず、可視光を利用するため、人体への影響も少なく、アレルギーや耐性菌の心配がほとんどありません。

◆ 抗生物質を使わない=未来の医療へ

これまでの治療では、抗生物質を使うことがスタンダードでしたが、近年では「耐性菌(抗生物質が効かなくなる菌)」の問題も懸念されています。

ブルーラジカルは、

・薬を使わずに殺菌できる

・アレルギーの心配が少ない

・再発リスクを下げる効果が期待できる

といった点から、安全性・持続性・効果のバランスが取れた“次世代の歯周病治療”として注目されています。

◆ 開発者は東北大学の菅野太郎教授

このブルーラジカルを開発したのは、東北大学大学院歯学研究科の菅野太郎教授です。
補綴学を専門とする先生ですが、「感染を制御できなければ、どんな補綴治療も意味をなさない」という考えから、10年以上にわたりこの技術の研究・開発に取り組んできました。

2023年には厚労省から医療機器としての正式な承認を取得し、2024年から全国の歯科医院での使用が本格的にスタートしました。
この技術は歯周病・根管治療・インプラント周囲炎など、多くの難治性疾患に応用可能であり、今後の歯科治療の未来を切り拓く技術といえるでしょう。

◆ どんな方におすすめ?

ブルーラジカルは、以下のような方におすすめです:

・歯周病がなかなか治らない

・何度も再発を繰り返している

・抜歯や外科手術はなるべく避けたい

・根の治療が長引いている

・インプラントのまわりが腫れている

・抗生物質にアレルギーがある

「どうせ治らない」「また再発する」とあきらめかけていた方にも、新たな可能性を提供できる治療法です。

◆ まとめ

ブルーラジカルは、「削る」「抜く」から「守る」「残す」治療へと、歯科医療の考え方を大きく変える新しい技術です。
体にやさしく、再発を防ぐ可能性を秘めたこの治療法は、今後メディアを通して益々注目されていくことと思います。

今回、私はブルーラジカルに関するセミナーを受講し、最先端の治療法について学ぶ機会を得ました。
現在、当院ではまだこの機器は導入しておりませんが、患者さんにも最新の医療情報をお届けしたいという思いから、本記事を執筆いたしました。

なお、ブルーラジカル治療は**保険適用外(自由診療)**となるため、治療を受ける際には費用や内容について歯科医院での説明を受けることが必要です。

今後も、より良い医療を提供できるよう、私たち自身も学びを深めてまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

失活歯のホワイトニング ウォーキングブリーチとは?

歯の変色に対して歯科で行う治療法として、多くの人は「ホワイトニング」を思い浮かべると思います。しかし、通常のホワイトニングでは効果が得られないこともあります。その代表例が、「失活歯(しっかつし)」と呼ばれる神経を抜いた歯です。

このような歯の変色を改善するための処置がウォーキングブリーチ法です。

失活歯は、根の治療後でも時間の経過とともに色がくすみ、黄褐色や灰色に変化することがあります。これは、血液やたんぱく質の残留物が内部にたまり、変色を引き起こすためです。

ウォーキングブリーチ法は【神経を抜いた歯の内部に漂白剤を入れて、内側から白くする】ホワイトニング方法です。

変色した失活歯(右)。右側の歯だけ、暗く変色しています。

一般的なホワイトニングは歯の表面の着色に作用するため、失活歯のような内部からの変色には効果が薄いです。そこで、歯の中に漂白剤を封入し、数日〜1週間かけて白くしていくウォーキングブリーチ法が適応されます。

当院でも取り扱っている治療です。

 

こんな人におすすめです

①過去に神経を抜いた前歯が、灰色や黄土色に変色してきた

②写真や会話で、前歯の色が気になって笑いにくい

③かぶせものみたいに歯を削られることに抵抗がある・あまり歯を削られたくない

 

ウォーキングブリーチ法の治療手順

※当院での流れです

⒈診断・カウンセリング

まずはレントゲンや視診により、根管治療がきちんとされているか、歯の状態を確認します。次に、カウンセリングにて、料金や術式をお伝えし、希望の色味を聞くなど相談を行い、ウォーキングブリーチを希望されるか決めていただきます。

⒉漂白剤の注入

歯の裏側の一部を削り、漂白剤(過ホウ酸ナトリウムなど)を入れて仮の蓋をします。

⒊待機期間(約1週間)

薬が数日をかけて、作用していきます。

一週間ごとに来院していただき、都度色味の変化や疼痛などの症状が出ていないか確認し、漂白剤を交換します。だいたい、3回繰り返します。

4.最終封鎖

最終的に、漂白剤を除去しレジン充填で密閉し、終了です。

メリット

①歯をほとんど削らずに白くできる

被せ物のように歯を大きく削らなくても審美回復が可能です。

②自然な仕上がり

漂白によって元の歯の色調が回復するため、周囲の歯とのなじみも良好です。

③コストを抑えられる

セラミック治療などと比べると、費用が抑えられることが多いです。

 

デメリット

①再変色することもある

時間が経つと再び変色することがあります。

②歯の強度に影響を与えることがある

薬剤の影響で、まれに歯の強度が下がることがあります。

③適応の条件が通常のホワイトニングよりも難しい

人工的な詰め物を白くすることはできないため、詰め物が入っていて歯冠の歯質がほとんど残っていない歯では効果はあまりありません。また、歯の内部に漂白剤をいれる治療のため、神経のある生活歯に利用することはできません。

 

さいごに

ウォーキングブリーチ法は失活歯の変色に対して【できるだけ歯を削らずに見た目を改善したい】という方にとって、有効な選択肢です。処置回数は少なく、比較的短期間で効果を実感できることも魅力です。

気になる方は、ご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとございました。

子どもの未来を守る!3歳から8歳までの不正咬合ってどうする?

こんにちは!いいじま歯科クリニック勤務医の岩間です。今回は、お子さまの歯並びと咬み合わせについて大切なお話をしたいと思います。3歳から8歳という時期は、お子さまの歯並びの土台ができる重要な時期。この記事では「不正咬合」について、わかりやすくお伝えしていきます。
不正咬合とは、簡単に言うと「歯並びや咬み合わせがずれている状態」のことです。「出っ歯」「受け口」「すきっ歯」などなど…

実は、お子さまの不正咬合は全体の60%以上に見られるとも言われています。放っておくと将来、こんな問題が起こることも…
• 食べ物をうまく噛めない
• 話し方が不明瞭になる
• 歯磨きがしにくくて虫歯や歯周病になりやすい
• 顎関節症の原因になることも
• 見た目が気になって自信がなくなる
3歳から7歳という時期は、まだ顎の骨が柔らかく成長中。この時期に適切に対処すれば、将来の大きな矯正治療を避けられることもあるんです!


不正咬合の予防と対策について、
1. 悪い癖を直そう
多くの不正咬合は、実は日常の癖が原因で起こっています。以下の癖に心当たりがあれば、早めに直しましょう。
• 指しゃぶり:4歳までには卒業させたい習慣です
• 口呼吸:鼻で呼吸する習慣をつけましょう
• 頬杖:同じ側ばかりで頬杖をつくと顎がゆがみます
• 舌の位置:正しい舌の位置は上顎についている状態です

2. しっかり噛む食習慣をつけよう
柔らかい食べ物ばかりだと顎の発達が十分に促されません。年齢に合わせて、しっかり噛む必要のある食材も取り入れましょう。
• 野菜スティック
• 固めに炊いたご飯
• 小魚や昆布など
3. 定期検診を欠かさない
不正咬合は早期発見が重要です。定期的な歯科検診を必ず受けましょう。歯科医院では学校検診よりも詳しくチェックできます。また3歳児検診や学校検診だとむし歯や歯肉炎以外は経過観察となることがほとんどです。お近くの歯科医院への受診をオススメします!

また、子どもの不正咬合の治療時期は症状によって異なりますが、目安としては以下の通りです。
• 3〜5歳:受け口など症状が明らかな場合は早期に開始
• 6〜7歳:永久歯が生え始める時期、多くの不正咬合の治療開始時期
• 9歳以降:上顎の成長が止まる前に治療を開始することが理想的

当院で行っている治療方法としてお子さんの年齢や症状に合わせて、最適な治療法をご提案しています。例えば、マウスピースタイプの装置で、悪い癖を直し、正しい噛み方を促しながら舌の位置や口周りの筋肉バランスを整えるトレーニングを行う治療も行っています。


お子さまの不正咬合対策で最も大切なことは、「早期発見・早期対応」です。顎の骨がまだ柔らかく成長している時期だからこそ、効果的な治療ができます。
「まだ乳歯だから」と思って放置すると、永久歯に生え変わった後に大がかりな矯正治療が必要になることも。逆に、この時期に適切なケアを行えば、お子さまの将来の悩みを減らすことができます。
少しでも気になることがあれば、お気軽に当院にご相談ください。お子さまの健やかな成長と素敵な笑顔のために、私たちがサポートいたします!

また当院では定期的にお口の発育相談会を無料で開催しています。
そこでもより詳しく口腔習癖についてお話ししていますので、ぜひぜひ参加してみてください。 お電話でもご予約受け付けておりますし、このHPからでも応募できます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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