ORF Symposium 【デジタル時代の治療計画】
こんにちは
いいじま歯科クリニック 副院長の高瀬です。
5月中旬に参加したシンポジウムの内容について簡単に触れていきたいと思います。
内容は専門的な内容になります。
審美領域でのデジタルプランニング 現状とこれから
〇これまでは口腔内写真を用いてアナログで診断、模型を使用してワキシングなどにより形態を確認→これは今までやってきたいることで、これからもできることであるが、もはや主流ではない。印象材による印象採得と模型でのワキシングは過去のものになりつつある。欧州では印象材を使って石膏模型を作ることは基本的なことではなくなっている。
〇現在は口腔内写真とデジタル印象を組み合わせることで画像上での診断、3Dプリンターでの模型作成、直接口腔内に装着できるパーツの作成などで形態を直接的にみることができる。これが現在の主流となっている。
〇これからはCT画像との組み合わせ、さらには顔貌(頭頚部)全体を撮影して様々な情報を組み込んで、画像上で完全再現を目指す方向に向いてきている。器械が高額であることと大きさがハードルになっているようです。大きな器材と費用をかけると可能であることは実証済みだそうです。
CTとの組み合わせは現在でも可能な技術であり、日本でも可能な方法である。さらに技術は控除してできることが増えてくると思われます。
無歯顎のデジタル治療計画(ABCDアルゴリズム)
〇患者の年齢(Age of patient)、埋入位置:骨のゾーン(Bone zones)、前歯の見え方(Cosmetic display)、埋入位置と補綴との関係(Degree of resorption)
〇ABCDの順に考慮し治療計画を立案する。A:年齢によって若年者であれば本数を多めに、高齢者であれば少なくすることで、将来の機能時間と患者への負担を考慮する。B:骨の診査から埋入できる部位の診査を確実に行う。若い人では広範囲に、高齢者であれば前方部を中心になど
C:前歯の見え方(審美)を中心に改善の検討を行う。D:埋入可能位置と補綴物の適正な位置を精査する。
そのうえでインプラントを入れる骨と補綴物の位置に差が出てくることになる。その差を埋めるためにはどのようなことが必要か、どのような手技で行うのかを決定していく。
アナログのプランニングはまだ有効か?
〇機能すべてをデジタルプランニングするには至っていない。
〇基本的な設計や形態はデジタルで再現可能、それに基づく外科についてはデジタルプランニングによるガイドの使用がベースになる。
現状としてオールデジタルは難しい!
データで変化を見れることで予測は行うことができる。これは術者だけでなく患者さんに見てもらうことで理解が得やすい。
今後はますますスピード感が上がって進歩していくものと思われる。
インプラント埋入本数に対する見解
〇年齢だけで本数が決まるものではなく、4本?6本?8本?の決定はシステムに左右されるものでもなく、客観的にこれらのアルゴリズムをもとに判断すべきである。
よく本数にこだわる議論があるが、4本でよいというものではなく、8本なくてはならないというものではない。
世の中にはAii-On-4などのテクニック(無歯顎に4本のインプラントを入れて上顎の歯を固定する方法)がメーカー主導で積極的に売り込まれているが、それだけで何でも解決できると思っている歯科医師が欧米にも多数いるそうで、設計を重視することより入れることを重視してトラブルになるケースが増加しているそうです。日本でも同じような議論が良くなされていますが、まだ骨格の小さな日本人では症例が選ばれる側面があり、トラブルが少なめのように感じます。
多くの議論が繰り広げられています。
これまでにも幾度となく議論されてきた内容もあり、さらに新たな議論も繰り広げられており、現状を把握するうえでよい機会であったと思います。
今後数回にわたりブログで内容をお伝えしていきたいと思います。