ダイレクトボンディング 岩田淳先生 1日コース in名古屋に参加しました!
皆さんこんにちは。
いいじま歯科クリニックで勤務しております歯科医師の渡部です。
このたび、エンビスタジャパン株式会社が主催する「ダイレクトボンディング1Dayセミナー」に参加してまいりました。
講師は、保存修復、歯科補綴(ほてつ:被せ物や入れ歯を作って失われた歯の機能を回復する学問)の分野で世界的にご活躍されている岩田淳先生。お名前は以前より存じ上げておりましたが、直接お会いするのは初めてのことであり、一緒に写真も撮っていただけたことは、非常に光栄で思い出深いものとなりました。
セミナーといえば東京や大阪といった都市部での開催が多い印象ですが、今回は愛知県名古屋市での開催ということで、新幹線を乗り継いで参加いたしました。思っていたよりも距離があり、移動の大変さも含めて良い経験となりました。
さて、今回のセミナーテーマである「ダイレクトボンディング」についてご紹介させていただきます。
ダイレクトボンディングとは、虫歯などで歯にできた欠損部分に、コンポジットレジン(プラスチックの一種)を直接詰めて修復する治療方法です。保険診療においては「CR充填」とも呼ばれます。この治療法の大きな特徴は、型取りを必要とせず、基本的には1回の治療で完結するという点です。
ただし、虫歯の大きさや歯質の状態によっては適応とならない場合もあります。そのため、全ての症例に適しているわけではありませんが、小さな虫歯に対しては、歯を削る量が少なく済み、治療回数も少なくて済むという大きな利点があります。
「レストレーションサイクル」という考え方がありますが、これは歯の修復治療を繰り返すことで、徐々に歯の寿命が縮まっていくというものです。削れば削るほど、再治療を重ねれば重ねるほど、天然歯の量が減り、最終的には抜歯に至る可能性が高まります。
虫歯の治療とは、基本的に失われた歯質を人工物で補う作業ですが、人工物には必ず劣化が訪れます。時間の経過とともに素材が摩耗し、接着面が劣化すれば、再度虫歯ができるリスクも高まります。だからこそ、初回治療の質の高さや、再治療時にいかに削る量を最小限に抑えるかが、歯の寿命に大きく影響してきます。その点でダイレクトボンディングの技術は大変有用と言えます。
今回のセミナーでは、特に奥歯へのダイレクトボンディングをテーマに、実践的な内容を学びました。奥歯は咬合力(かむ力)も大きく、形態も複雑であるため、より高度な技術と知識が求められます。
実際の臨床では、模型上で虫歯を除去した後にできた窩洞(穴)に、コンポジットレジンを少しずつ詰めていき、元の歯の形や機能を再現します。その過程では、処置用の器具の使い方、光の当て方、素材の取り扱いなど、多くのポイントがあります。今回のセミナーでは、これらの技術を一つひとつ丁寧に学びました。
セミナーは朝10時から夕方17時までの7時間でしたが、非常に濃密で、時間があっという間に過ぎました。座学だけでなく、模型を使った実習も多く、実際の臨床に即した内容で大変有意義な学びとなりました。セミナー後の質疑応答も岩田先生が遅い時間まで丁寧にご回答くださり大変勉強になりました。
学んだ技術を早期に臨床に取り入れることはもちろん、患者様への説明の質を高めることにもつなげていきたいと感じています。治療の選択肢をわかりやすくご案内することが、安心と信頼に直結するからです。
今後は、今回学んだ知識と技術を日々の診療に活かし、より質の高い治療を患者様に提供できるよう努めてまいります。特に、「なるべく削らない」「なるべく再治療にならない」治療方針を大切にし、歯の寿命をできる限り延ばせるよう取り組んでまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。