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DHAセミナー ~機能を備えた審美の先にある整美~ を受講してまいりました。

皆さんこんにちは。いいじま歯科クリニック勤務Drの渡部です。

2025年2月16日、東京のアーバンネット神田にて開催されたセミナーに参加しました。本セミナーでは、ボツリヌス療法の歯科領域での応用について学びました。講師を務められたのは、ふるやしき歯科の古屋敷有子先生です。今回は、セミナーで得た知見を患者の皆さまにも分かりやすくお伝えしたいと思います。

ボツリヌス療法とは?

ボツリヌス毒素(代表的な製品にアラガン社のボトックス®)を用いた治療法で、筋肉の過剰な緊張を緩和することで様々な症状を改善します。医科では肩こりや頭痛、美容領域ではシワの改善や小顔効果を目的に使用されますが、歯科では咀嚼筋や表情筋の過活動による問題を解決するために応用されます。

歯科におけるボツリヌス療法の効果

歯科領域では、以下のような症状や疾患に対してボツリヌス療法が有効とされています。

  1. 顎関節症:咬筋の過緊張を抑えることで、顎関節の負担を軽減し、痛みや開口障害を改善。
  2. ガミースマイル:上唇を引き上げる筋肉の働きを抑制し、歯ぐきの露出を抑える。
  3. 歯根破折や補綴物の破損防止:食いしばりや歯ぎしりによるダメージを軽減。

ボツリヌス療法の評価方法

従来は患者さんの主観的な評価が治療効果の指標とされていました。しかし、最近では筋電計を用いて客観的な評価が可能になっています。筋活動の測定により、ボツリヌス療法が必要な状態かどうか、また治療の効果を数値で確認できるようになりました。

今回のセミナーでは「マイオニクス」という筋電計を使用し、筋活動を評価しながら実習を行いました。治療のタイミングを適切に判断できるため、今後の診療に役立つと感じました。

ボツリヌス療法の実際の手順

ボツリヌス療法は主に咬筋をターゲットにして行われます。具体的な手順は以下の通りです。

1.  咬筋の同定:触診で位置、厚みを確認。

2. マーキング:注射部位を決定し、ペンシルで印をつける。

この〇印が注射針を刺す位置です。

3. 消毒:アルコールまたはアルコールフリー消毒綿で清潔に。

4. 注射:薬液を3~5点に分けて注入。

痛みはインフルエンザワクチンの注射と同程度で、表面麻酔を併用することで軽減できます。施術後30分ほどで圧迫感はなくなり、効果は2~3日後から現れます。

ちなみに表面麻酔はこんな感じです。

実際に体験してみて

今回のセミナーでは、参加者同士でボツリヌス療法の相互実習を行いました。実際に受けてみたところ、刺入時や薬液注入時の痛みは軽く、表面麻酔の有無による違いも個人差があると感じました。施術後の違和感はほとんどなく、効果の実感はこれからの経過を見て判断していくことになります。

筋電計で測定したところ、私の咬筋活動量は500μv前後で、一般的に100μvを超えるとボツリヌス療法の適応とされるそうです。特に自覚症状はなかったものの、かみしめた際の筋肉の硬さを考えると、効果を楽しみにしています。

ボツリヌス療法の安全性

「ボツリヌス毒素」と聞くと中毒のイメージを持つ方もいるかもしれませんが、医療用に使用されるものは適切な製造・管理のもとで安全に投与されます。ボツリヌス毒素にはA~Gの7種類があり、治療にはA型が使用されます。適切な量を用いることで安全に効果を得ることができます。

まとめ

ボツリヌス療法は、歯科領域において新たな治療の選択肢となる可能性があります。

  • 美容目的とは異なり、機能改善を目的とした応用が期待できる。
  • 顎関節症やガミースマイル、歯ぎしりによるトラブルの予防にも有効。
  • 筋電計を活用することで、客観的な評価が可能になった。

現在、私の勤務先ではまだ導入していませんが、今後の歯科医療の発展に伴い、より多くの患者さんに提供できる日が来るかもしれません。そのためにも、知識のアップデートを続け、より良い診療を目指していきたいと思います。

今後の経過についても、またブログでご報告させていただきますので、ぜひチェックしてください!

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