りんご丸かじり義歯セミナー in大阪
皆さんこんにちは。
いいじま歯科クリニック勤務医の渡部です。
2024年8月30日、大阪にて開催された『りんご丸かじり義歯セミナー』を受講してまいりました。
このセミナーは、リンゴを丸かじりできるほど安定した総入れ歯を実現するための理論と臨床技術を学ぶことを目的としたものです。
講師を務められたのは、長崎県でご開業の吉村歯科医院院長・吉村先生と、静岡県で歯科技工所を運営されている大石先生のお二人です。どちらの先生も、これまでに5桁を超える症例数を経験されており、入れ歯治療の第一線で活躍されているスペシャリストです。
まず、セミナーのタイトル「りんご丸かじり義歯」についてご説明させてください。一見、少し砕けた印象のある名前に感じるかもしれませんが、決してふざけているわけではありません。
皆さん、最近リンゴを丸かじりされたことはありますか? リンゴを丸ごとかじるには、大きく口を開けて前歯でしっかり噛みつく必要があります。天然の歯であれば、さほど難しいことではありませんが、総入れ歯を装着されている方にとっては、非常に困難な動作です。
というのも、総入れ歯は構造上、前歯に強い力をかけると、歯ぐきから浮き上がる方向に力が加わるため、外れやすくなってしまうのです。適合の良い入れ歯であっても、前歯で硬いものを噛み切る際には外れるリスクが高まります。
逆に、奥歯で物を噛む際は、入れ歯が歯ぐきに押し付けられる方向に力がかかるため、比較的安定します。この違いにより、前歯でかぶりつく動作が総入れ歯にとって苦手であるということがお分かりいただけるかと思います。
このような構造的なハンディがある中で、「リンゴを丸かじりできる義歯」というコンセプトが実現可能なのか、初めは正直、半信半疑でした。
ところが、セミナーの中では実際の治療風景を収めた動画が紹介され、本当に入れ歯でリンゴをかじっている患者さんの様子を目の当たりにしました。その映像は非常に衝撃的で、患者さん自身が最も驚いている様子が印象的でした。
「まさか自分がリンゴをかじれるなんて思っていなかった」と語る患者さんの表情からは、驚きと感動があふれており、画面越しでもその喜びがひしひしと伝わってきました。
総入れ歯の治療には、大きく分けて「型どり」と「咬み合わせの構築」という2つの重要な工程があります。どちらが欠けても、患者さんにとって満足のいく義歯を提供することはできません。今回のセミナーでは特に、咬み合わせの構築に焦点を当てた内容が中心でした。
実際のところ、内容は非常に濃密で、一度の受講ですべてを習得するのは到底難しいと感じました。しかし、講師の先生方も「繰り返しの学習と実践が何よりも大切」と強調されており、まさに地道な努力の積み重ねが求められる分野であると再認識いたしました。
今後も、患者さんに「こんなに噛める入れ歯は初めて」と言っていただけるような治療を目指し、日々の診療と研鑽を重ねてまいります。
次回は、11月にセミナーがあるみたいなので、ぜひ参加したいなぁと思ってます!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回の更新でお会いしましょう。